2010年04月28日

断熱計算ソフトの使い方

私が設計する建物は必ず断熱計算をしています。
もちろん専用ソフトがありまして、
室蘭工業大学 建築システム工学科 鎌田研究室が開発した
エクセルのマクロプログラム「Q-PEX」は、
NPO法人 新木造住宅技術研究協議会(略称:新住協)で入手可能です。

日本全国のアメダス観測地点(824カ所)の気象データにより、
建物の建設場所、部位毎の断熱仕様、
開口部の向きと大きさなどを入力すると、
熱損失係数(Q値)と同時に全室暖房時の年間エネルギー消費量や
CO2発生量も算出されます。
直感的で簡易な入力方法のため、
単純な形状の住宅であれば二時間程度で作業は終了します。

このソフトは、
部位毎の断熱性能を操作すると燃費がどの程度良くなるのかを
確認するのが本来の使用方法であり、
次世代省エネルギー基準ギリギリの建物と比較して、
燃費を半分にする方法などを検討するために開発されたものです。

問題はこのソフトが簡単に悪用できてしまうことです。
例えば、
次世代省エネルギー基準のギリギリクリアを目的とした計算!
何が悪用かとといいますと、
開口部で性能を確保し、床・壁・天井の断熱厚さを
ギリギリまで薄くする設計もできてしまいますが、
それらは単なる計算結果なんです。
推奨できる工法だとは言えないんです。

薄い断熱材を壁に押し込むと、
断熱材と内装材の間に空間ができてしまいます。
この納まりが壁の中に気流を発生させ、
床下の冷気が屋根裏まで移動してしまう現象につながります。

断熱厚さを基準値ギリギリまで薄くし、
計算結果のみ次世代省エネルギー基準をクリアしている住宅が、
これまでの住宅の問題点である壁の中の気流問題を
解決するよう施工し、
計算通りの性能を発揮することは考えられないのです。
なぜなら、
薄い断熱材で気流が発生しないように施工するのは、
壁厚さの断熱材を充填するより遙かに面倒な作業なのです。

QPEXの開発目的は、
どうすればより簡易に省エネとなるかを検討することです。
補助金申請用のために基準ギリギリの断熱厚さを計算し、
材料費と施工手間までケチってしまうと、
これまでの寒い家と何も変わらない「次世代省エネ基準の家」が
出来てしまうのです。
ソフトの悪用ですよ!

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追記:
雑誌の原稿を書き終えたら
文字数が大幅にオーバーしてましたので、
本当に言いたい事はこちらに書きます(笑)

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posted by TOY-order at 22:34| Comment(2) | TrackBack(0) | ウンチク-A断熱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うんうん!わかります。

仕様規定より性能悪い家で、エコポイントがもらえてしまう場合もありますもんね。

Q−PEXがどれくらいの割合で、悪用?されているんでしょうかね?
Posted by noko at 2010年05月02日 11:13
nokoさん、
新住協の事務局には毎日問い合わせがあるそうです。
しばらくは、名ばかりの次世代住宅が増えると思います。
Posted by TOY(管理人) at 2010年05月07日 00:54
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