2006年10月04日

ビルの断熱改修06

ビルの断熱改修工事の話です。
ビルといっても、鉄筋コンクリート3階建て、
床面積1200平方メートルの小さな建物です。
このシリーズも設計から断熱の工法へと話は進み、
今回は外断熱について書きます。
興味がある方はバックナンバーも読んでみてください。(長いです)

断熱性能を良くするためには、
厚い外断熱が合理的であることを前回説明しました。
今回は、外断熱のメリットを幾つか書きたいと思います。
雑誌や本でむずかしい特集が組まれる内容ですが、
なるべく噛み砕いて、単位や数式を使わないで書いていきます。
鉄筋コンクリート造の建物の寿命は何で決まるでしょう?
答えは、コンクリート中の鉄筋の腐食(サビ)で決まります。
コンクリートは熱で膨張し冷めると縮みます。
夏から冬への大きな変形と、
昼から夜への小さな変形を繰り返しています。
幸い鉄とコンクリートの変形量はほぼ同じなので、
仲良く変形を繰り返すことができています。

しかし、
このストレスを繰り返すことでコンクリートに小さなひびができます。
ここに、雨水が浸入し、凍結膨張し、
小さなひびは徐々に深く広がっていきます。
そして、
ひびがコンクリート内の鉄筋に達したときから鉄の腐食が始まります。
最後は、錆びて膨張した鉄筋が内側からコンクリートを破壊します。
鉄筋が見えている建物を見たことがあると思いますが
大体似たような流れで劣化が進みます。
ただし、壊れても建物には問題ない部分もありますので
心配な方は専門家に相談してください。


ryo005.jpg

ryo006.jpg
改修前の建物外壁。一部鉄筋が見えているが
構造の壁でないので補強などはしていない


厚い外断熱の建物のコンクリート温度は外気に影響されません。
1年間の温度変化量は最大で20℃程度です。
(ちなみに、一般の建物の屋上は70度を越えます。)
厚い外断熱の建物は熱ストレスがほとんど起こらないといえます。
仮に小さなひびができても外の仕上げと断熱がありますので
雨水が入り込むことは考えにくいです。
つまりコンクリートの劣化が起こりにくい工法なのです。

コンクリートの温度変化が少ないということは、
教科書にある次の説明も違ってきます。
@ 内断熱:暖房すると温まりやすいが、すぐ冷める
A 外断熱:暖房すると温まりにくいが、なかなか冷めない

B厚い外断熱は、ほとんど冷めないので、すぐ温まる建物である。
が正解です。

すぐ温まる建物に大型の暖房設備は不要です。
熱が逃げる分だけの能力を持った小さな暖房機が快適です。
コンクリートが熱を蓄えていますので、
建物全体で寒いところがなくなります。
トイレや脱衣室も寒くありません。
北側の部屋の小さなヒーターで一住戸全室暖房も可能となります。
それでも、端の部屋の人は少し寒いです。
暖房エネルギーが倍必要とも言われています。
端の部屋の人が暖房するほど、
それ以外の人はその熱のおかげで暖房しなくなるのですからから当然です。
この不公平をなくすには建物全館暖房が合理的です。
これは別の機会に話しましょう。


壁の温度が高いと、体感温度が上がります。
おかげで室温は低く設定できるようになります。
建物の熱の流れは中と外の温度差が大きいほどたくさん流れますので、
冬季間、低い温度で生活できる建物は
それだけで相当な省エネになるのです。

このレベルの断熱になりますと、窓に結露はほとんどできません。
逆に少し乾燥気味になりがちですので
加湿器や洗濯物で湿度の調整が必要になります。
結露が原因のダニやカビの発生も防げます。押入れの中もさわやかです。
夏の西側や最上階の部屋みたいに、極端に暑い部屋もありません。

温度測定しますと、10月から4月までの部屋の温度は、
空調しない5月の室温と非常によく似ています。
夏は日よけと除湿程度で快適となりますので、
年間を通して5月の清清しさが味わえることになります。

どこかの営業マンのような文章になってきましたので
今日はこの辺で終わります。

「またまた、ちょっと大げさじゃな〜いの〜?」
なんて思った人は次回も読んでください。

次回予告:屋根断熱について。     お楽しみに!
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posted by TOY-order at 19:38| Comment(0) | TrackBack(0) | ウンチク-E大型物件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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