2006年10月05日

ビルの断熱改修09

厚い外断熱の鉄筋コンクリート建物がどのような温熱環境になっているか、
追跡調査するのも重要な仕事の1つです。

ここで、私の仕事のスタンスを紹介します。
@ 調査→(設計の調査時)気象条件、近隣環境
A 予測→(基本設計時)断熱性能の計算、灯油消費量の計算
B 設計→(実施設計時)断熱・暖房等の性能設計
C 監理→(現場管理時)断熱・暖房等の徹底監理
D 測定→(建物完成後)温度測定、燃料消費量測定
E 検討→(測定データ回収後)予測と測定結果の比較、反省

Eでの反省により、次の設計の課題が見つかります。
つまり次の仕事の@は、@’(@より少し賢い)になります。
私も温度測定をするまでは、@・B・Cをぐるぐる繰り返し、
設備に関しては協力事務所にまかせっきりで、
ほとんど進歩がありませんでした。

しかし、A・D・Eをていねいに行うことで、
ラセンを描くように進み始めました。
断熱や暖房に関しては、設計がどんどん進化していることを、
実感しています。
(残念なのは、意匠設計かこの勢いで進化しないことです・・・トホホ)
今回の本題に入ります。数年前に完成した建物の温度データから、
厚い外断熱建物の性能を説明します。

ryo009.JPG

グラフは、2004年1月4日〜15日のデータです。それぞれの線は、
赤→寒冷地に建つ高断熱の「A小学校」、
緑→すぐ近くの一般の「B中学校」、
青→「外気温」を示します。

小中学校の建物は、年末年始の休暇のため約7日間無人でした。
休み中は天気に恵まれ、外気温も高く日照もありました。

これだけの条件が揃うと「A小学校」は、
1週間無人でも室温15℃を保てます。
同じとき「B中学校」の室温は5℃ですので、
初日から暖房を勢いよく焚いています。
たちまち空気は23℃まで上昇しますが、
暖房を止めると空気は一気に冷め翌朝は7℃まで下がってしまいます。

「B中学校」は、それでも少しずつ朝の最低温度が上昇するのですが、
成人の日を含む三連休のおかげで、室温は元に戻ってしまいました。
(連休明けの朝は寒い)

「A小学校」は、外が氷点下の日でも常時15℃を保っています。
子どもがいる朝8時から夕方4時までは17℃以上になっています。
どちらの学校も教室の温度です。
ちなみに「A小学校」は廊下やトイレも同じ室温です。

「A小学校」の暖房は、
建物全体に約40℃の温水をめぐらせる「蓄熱型低温輻射暖房」です。
急激な温度上昇は期待できませんが、生活する上では特に問題ありません。

しかし、この地域は、冬季間に体育の授業でスキーをします。
震えて帰ってきた子どもを暖かく迎えるイメージの暖房がありません。
発注者は非常に心配していました。
(今は笑い話ですけど当事はみんな真剣でした。)
そこで、担当者に高断熱の建物に体験宿泊してもらうことにしました。

彼は、「外から帰っても寒くない」と驚き、
問題ないことを認めてくれました。
コンクリートに蓄熱された建物は、
室温17℃程度でも寒くない建物になります。
17℃の熱で飽和した空間には、
嫌な冷気や、冷たい床壁、不快な温度差が無かったのです。
(少し大げさに書いてしまったかも・・・
でも本当に5月の温度変化に似ているんですよ!)

断熱性能を確保した建物の暖房は、
それに合ったシステムにすることが理想です。
次回は、この小学校の暖房システムを紹介します。
       お楽しみに!
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posted by TOY-order at 09:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ウンチク-E大型物件 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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