私の事務所は建物の断熱性能を改善し続けていますので、古い建物は今と比較してかなり貧弱に見えます。もちろん次世代省エネルギー基準なんて当時から余裕でクリアしていますが、それでも貧弱です。相談の内容は灯油消費量についてでした。
「今年の灯油消費量(暖房のみ)が約1,200g、
これを減らすために別の暖房機を補助的に設置したい。
蓄熱暖房機を安価で設置する業者があるが設置して良いか?」
設計時に計算したエネルギー消費量は850gですので、ちょっと多いです。古い資料を調べると、私のシミュレーションで入れてあった断熱ブラインドが実際はいっていないことが分かりましたのでそれを修正すると、1,050gまで増加します。
灯油の値段が設計時の1.5倍ですので、補助暖房を設置したくなる気持ちも分かります。ボイラーの寿命は最短でもあと5年はありますが、その間に支払う灯油代(価格上昇の不安含む)を考えると、熱源を変更する案を提案しました。
まず、
蓄熱暖房機は熱効率が非常に悪い上に、高温で蓄熱するため室温が上がりすぎる「オーバーヒート」現象が起こりやすいので設置するべきでないことを伝えました。現に北海道電力、東北電力では蓄熱暖房機が夜間電力の消費量を増加させすぎてしまったため、販売していません。
断熱性能は華奢ですが暖房はしっかりしています。床下に設置したラジエター状の放熱パネルに建物の外で沸かした温水を流すシステムですので、お湯ができるなら熱源は選びません。灯油、ガス、電気、薪、ペレット、太陽熱。温水ができるなら何でも有りです。
現時点で最適な熱源は、夜間電力を使ったヒートポンプでしょうね。外気温がそれ程低くならなければ、熱交換効率がかなり良いし、夜間電力の時間帯に暖房すれば、電気代は大幅に削減できます。当時は拘ってオール電化にしなかったのですが、暖房と給湯をオール電化にすれば基本料金も下がります。なるほど良いことずくめですね。
ただし、今回の震災から発生した原発事故で夜間電力のベースになっているエネルギーが減少しています。今以上増えることは考えられないのではないでしょうか。そうなると、夜間電力のために原発以外の発電所を動かすようになりますので、現在の割引率は維持できなくなると思うのですがいかがでしょう。
エネルギーの話はこうして堂々巡りになってしまうのです。
結論を言いましょう。意外と簡単でして、エネルギーをなるべく使わない家をつくることが最初なんです。エネルギーなんてこれまでもどんどん変わってきましたし、これからはもっと変化していくでしょう。それに備えるには、いかにエネルギーを使わない建物にするかという視点なんです。
でも、古いお客様には通じない論法なんです。更に堂々巡りは続くのでありました。
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追記:
エネルギーを使わない建物と、
エネルギーを使わない暮らし、
これらを両立させるのは難しいんですよ。
例えば、
あんなに困ったのに、水道水に感謝する気持ちなんてもう無いでしょ?
気持ちなんて1ヶ月ですっかり戻ってしまうんです。
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